夜空を舞う雪は、俺を追い越して闇へと消えていく。 分け合えるのは過去の傷だけ。 心が本当に痛い時は、誰にも言えないから痛いんだ。 まっすぐに歩けない。 それは風のせいでもなければ、 向こうから流れてくる人混みのせいでもなく。 自分がその意思を放棄したから。 生きることが、笑うことが、楽しいなんて誰が決めた? 仕方なく、仕方なく、踏み出した一歩が、 明日の俺を作っていくのだとしたら。 どんなに恋い焦がれた朝が来ても、「昨日」はまだ「今日」のまま。 雪は、しばらく止みそうにない。 冷え切った指先の痛みならば、いつか夢のように忘れ去ってしまうのに。 大丈夫、自分が特別なわけじゃない。 言い聞かせながら歩く夜道はいつもより寒く感じて。 痛いと言えるはずの人と一緒にいられないのは、 そんな人が存在しないことよりずっと痛い。 |