Merry-go-round in the sky

人を好きになるのがこんなに辛いと思わなかったよ。


君の言葉に僕はふと空を見た。
僕より少しだけ背の高い君の影が、白く映っていた。
それほどに僕はうつむいていたんだ。

こんなにも頼ってしまうのは、君が前を向いているから?
違うよね、君も僕と一緒にずっと立ち止まってたのに。

よりかかればよりかかるほど。
お互いの痛みを背中で分かち合いながら。
また新しい傷を見えないところに作り合って。


なんかもう、泣くのも忘れてたよね。


僕の呟きに君が小さくうなずく。
ちらりと見えた瞳は、濡れているような気がした。

大事に大事に守りながら、抱きしめることはしないんだ。
誰にも言えない傷が君に見えてしまうから。
君だって、僕には想像もつかない傷痕をたくさん抱えてる。

雨が降ってきて、交差点で僕たちは別れた。
君の自転車を少しの間、見送った。

空はまだ晴れていて、淡く煙る天使の梯子が印象的だった。


翌朝、電話しても君は出なかった。

手が届かないことはない夢。
また少しだけ遠くなってしまった君の背中。
でも、そういう接し方をしてきたんだ。
…そう、お互いに。


さて、僕はどうしようか。


誰もが生と死の間で生きる。
たったひとりの、ほんのひとつきりの本音。
嫌いだからこそ、本当に憧れる。
読み方によって内容が変わるので、いろいろお試しあれ。